随感録 2012年1月

2012-01-11 (Wed)

最近読んだ本。

宮部みゆき『楽園』上下巻。

山荘事件 (『模倣犯』) から9年後。あの事件に大きく関わったフリーライター前畑滋子が, 奇妙な依頼を受ける。依頼者の息子が "超能力者" だったのか, 真実を知りたい, と。

超能力ネタとはいうものの, SFやファンタジーではなく, あくまでも現実世界としての前畑が (作中の) 現実世界で彼が超能力者だったのか, を追求する。

いつもの宮部のようにキャラクターが丁寧に書き込まれていて, 少年や, 少年が「見た」事件の真相に迫っていくのがスリリング, 非常に面白かった。

ただ, 下巻に入って, えらい早いところから手仕舞い感が出てきて, 結末に向かって少々ダレたような。下巻はもっと短くてもいいのかも。

オチはやや微妙。もちろん, 映画版の『模倣犯』(日本映画の金字塔) よりははるかにいいが, 原作の『模倣犯』のほうがよかった, か。

綾辻行人『Another』上下巻。

これはよかった! ミステリかと思ったらまったくのホラー作品。恐ろしすぎる。夜一人で読むとつい後ろを振り返ってしまう。

東京の学校から夜見山北中学 (夜見北) に転校してきた榊原恒一。が, 3年3組のクラスメイトと, 同じクラスのミサキ・メイとの関係に困惑する。そんななか, クラス委員長の桜木がありえない方法で死んでしまう。このクラスには秘密になっていることが・・・ 最後まで生き残るのはいったい誰か?

主人公の榊原とヒロインの恋愛もの。ヒロインと接するときのドギマギした感じ、あるいは叔母さんに若くして他界した母親を重ねたり、とか, 学園ドラマ仕立ての部分がいい。ミステリファンの受けはそうでもないのかもしれないが、気に入った。

最後には結局、ミステリとしてまとまっている。同じ綾辻による『どんどん橋, 落ちた』収録の話が思い浮かんだ。

2012-01-26 (Thu)

10年ぶりにバージョンアップ。

いずれもCGIアプリケーションだったのを、サーバで Ruby on Rails が使えるようになったので、Rails 3.0 で書き直した。改めて Rails の生産性の高さを認識した。

フレームワークの使いやすさもさることながら、db:migrate などのヘルパスクリプトが用意されているのが大きい。