(2007.11.14 ページを分割)
前ページに引き続き、「CONCEPTWARE/財務管理」を添削します。
このページでは、実際の業務フローを意識しながら、主にトランザクション系の設計がどのようになっているかについて見ていきます。
まずは販売プロセスです。
このシステムでは「AJ売上受領データ管理」区分の辺りです。また、「SI営業データ管理I/F」も関係します。
販売プロセスのうち、経理が担当するのは、請求、未回収管理、回収の消し込みです。
このシステムとは別に、販売管理システムにて出荷データを管理します。出荷データを取り込んで、「SIT請求見出し」テーブルに格納するようです。
請求見出しテーブルは、得意先コード、請求日、請求金額(税込)フィールドなどを持ちます。
消費税がないので、このシステムで仕訳(総勘定元帳データ)を生成することはできません。例えば車椅子(非課税)と家具(課税)を取り扱った場合、どのように本体価格と消費税を区分するか。
販売管理システムのほうで請求書を発行し、仕訳計上する前提です。
掛売りでは、滞留債権がないか適時確認します。このシステムでは「AJ売上受領データ管理」のなかに「売掛残高の検索・一覧」機能があります。
「AJF012 得意先別売上請求/受領の一覧」が、得意先を選んで、その得意先に対する請求、得意先からの回収を一覧する画面です。引用してみます;
得意先別の請求、受領の実績がそれぞれ請求日、受領日の古い順に一覧される。絞込み条件の「日付」には当月初日の日付が初期値としてセットされる。受領明細に対する操作や一覧印刷処理のランチャーでもある。特定の受領明細を選択状態にすると「表示」「変更」「取消」のボタンが有効になる。
画面を示します。XEADでは画面スケッチをテキストで作ります。懐かしの、黒地に緑色の端末画面です。
得意先 XXXXX XXXXXXXXXXXXXXX 会計月度 XX99年99月期 99月度 ----------------------------------------------------------------------------------------------- 月初売掛金残高 99,999,999- 月初前受金残高 99,999,999 月間課税売上額(税抜) 99,999,999 月間免税売上額 99,999,999 非課税売上額 99,999,999 月間売上原価額 99,999,999 月間売上返品額 99,999,999 月間返品原価 99,999,999 月間売上割戻額 99,999,999 月間売上値引額 99,999,999 月間仮受消費税額 99,999,999- 月間売掛回収額 99,999,999- 月間前受受領額 99,999,999 月間仕入相殺額 99,999,999- 現在売掛金残高 99,999,999- 現在前受金残高 99,999,999 ----------------------------------------------------------------------------------------------- 99/99≦月度≦99/99 |一覧検索| ----------------------------------------------------------------------------------------------- 請求日 請求№ 税込請求額 |▲| | 受領日 受領№ 売掛回収額 前受金額 |▲| 99/99/99 XXXXXXX 999,999,999 | | | > 99/99/99 XXXXXXX 999,999,999 999,999,999 | | 99/99/99 XXXXXXX 999,999,999 | | | 99/99/99 XXXXXXX 999,999,999 999,999,999 | | 99/99/99 XXXXXXX 999,999,999 | | | 99/99/99 XXXXXXX 999,999,999 999,999,999 | | 99/99/99 XXXXXXX 999,999,999 | | | 99/99/99 XXXXXXX 999,999,999 999,999,999 | | 99/99/99 XXXXXXX 999,999,999 | | | 99/99/99 XXXXXXX 999,999,999 999,999,999 | | 99/99/99 XXXXXXX 999,999,999 | | | 99/99/99 XXXXXXX 999,999,999 999,999,999 | | |▼| | |▼| ----------------------------------------------------------------------------------------------- [戻る] |受領明細追加| |表示| |変更| |削除| [一覧印刷]
まず、売掛金以外の回収画面がこの画面と別にあります(AK 一般受領データ管理)が、分ける必要がないし、分けるべきでもありません。
プラクティスとして、回収(このシステムでいう受領)は、一つ一つの請求と紐付けされるべきです。未回収が残った場合(回収漏れ、振込金額相違など)、そうしておかないと、どれが未回収か分からなくなります。
請求書に当てるようになっていないので、このままでは使いものにならないですが、一応、見ておきましょう。
「AJF022 売上受領明細の保守/現預金受領」が得意先からの回収(受領)を登録する画面です。
売上受領№ *AUTO 得意先 XXXXXXXXXXXXXXX 受領先 XXXXXXXXXXXXXXX 現在売掛残高 999,999,999- 現在前受残高 999,999,999 取引区分 現預金受領 受領日 99/99/99 取引口座 XXXXXXXXX|▼| 受領額 999,999,999 (a) 割引額 999,999,999 (b) 振込手数料 999,999,999 (c) 前受金額 999,999,999 (d) 売掛金増減額 999,999,999- (a+b+c-d) 摘要 XXXXXXXXXXXXXXXXXXXX 取引後売掛残 999,999,999- 取引後前受残 999,999,999 [戻る] [OK]
まず、割引額を回収時に登録するようになっていますが、請求のほうに回したほうがいいです。業界によっては、後決め、あるいは事後値決めの慣行があるところもありますが、まったく不適切であり、そういう実務がない業界では項目自体を廃止すべきです。
前受金の扱いが混乱しているように見えます。前受商売するときは、
取引口座フィールドがプルダウンになっています。現金、預金をここで選択します。念のため、このマスタの管理画面を見ておいたほうがよさそうです。
「AFF010 現預金口座の検索・一覧」が現金・預金の一覧の画面です。現金、預金を区別せずに扱うようです。
事業所 XXXXXXXXXXXXXXX 口座コード * |一覧検索| ----------------------------------------------------------------------------------------- № 口座C 口座記述 タイプ 部門名/銀行口座番号 現在残高 |▲| > 99 XXX XXXXXXXXXX 現金・小切手 XXXXXXXXXX 999,999,999- | | 99 XXX XXXXXXXXXX 現金・小切手 XXXXXXXXXX 999,999,999- | | 99 XXX XXXXXXXXXX 預金 XXXXXXXXXXXXXXXXXXXX 999,999,999- | | 99 XXX XXXXXXXXXX 現金・小切手 XXXXXXXXXX 999,999,999- | | 99 XXX XXXXXXXXXX 現金・小切手 XXXXXXXXXX 999,999,999- | | 99 XXX XXXXXXXXXX 預金 XXXXXXXXXXXXXXXXXXXX 999,999,999- | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | |▼| ----------------------------------------------------------------------------------------- |戻る| |追加| |複写| |明細/調整入力| |月次取引| |変更| |削除| |一覧印刷|
「現金・小切手」って何でしょうか。当座預金ではなくて? 登録する画面も見ておくと、
事業所 XXXXXXXXXXXXXXX 口座C XXX 口座記述 XXXXXXXXXXXXXXX 口座区分 XXXXXXX[▼] 管理部門 XXXXXXXXXX[▼] 銀行 XXXXXXXXXXXXXXX[▼] 銀行口座区分 XXX[▼] 銀行口座番号 1234-5678-9012 定期満期日 99/99/99 [戻る] [OK]
口座区分で1 = 現金・小切手、2 = 普通預金、3 = 当座預金(えーっ!)、4 = 定期預金、を選びます。「貯蓄預金」とか「その他」とかどうしましょうか。
逆に、定期預金は投資項目としてキャッシュから除くべきでしょう。だいたい、売掛金の回収先が定期預金とはどういう状態か。
銀行の支店がなかったり、口座番号がやたら長かったり、カナ名がなかったり、突っ込みどころが多い画面です。しかし口座番号が12桁って何を見たんでしょう。ヨーロッパのIBANはもっと長いし、あるいはSWIFT (銀行、支店の指定) とも違う。
どうも、これ以上見ても仕方ないです。
このセクションはまだ更新していません。古いままです。
購買プロセスのほうに注目すると、まず購入するもので分類できます。
棚卸資産は、残高を把握して定期的な棚卸しが必要だし、固定資産についても現物照合が必要。そのため、どのようなものが手許にあるはずなのか把握が必要。
固定資産、前払費用は、定期的(普通は毎月)に費用化処理が必要。
支払いに目を向けると、下記がある。
自動引き落としをどのように組み込むか、という問題がある。
一方で、購買データ、販売データ以外では、経理担当者が仕訳データを直接生成できる必要がある。例えば時価評価など。雑多な仕訳は手で入れるのが早い。
[現金及び現金同等物]フィールドから[当期純損益]フィールドまでは不要。こんなに決め打ちしてしまっては使えない。
どうしてこういうテーブルがあるのか。入出金実績テーブルのデータを表示するときに集計するのではダメだろうか。
[AFF106入出金実績生成(一般支払指示)]機能 → [AFT030入出金実績]テーブル → [AFF200入出金実績にもとづく残高更新]機能 → [AFT200月次現預金取引SUM]テーブル、という風に流れる。さらにここから仕訳データを生成する。ちょっと長い。
一方で、[ADF040仕訳にもとづく残高集計]機能がある。難しい。
仕入れは購買プロセスの一種であり、二つのプロセスからなる。一つは棚卸資産の計上、もう一つが支払い。棚卸資産の計上は買掛金の計上を伴う。支払いのほうは、買掛金の消し込みと、銀行振込み(ファームバンキングシステムへの接続)、諸掛の計上が発生する。
気になるのは、[現預金口座]台帳をいちいち更新するように見えること。現預金取引簿から導けないか。
固定資産の購入についても、当然ながら支払い処理が発生する。この支払い処理は、[200仕入経費支払の流れ]フローと同一。統一的に扱えないか。
総勘定元帳の出力がない。
(2007.11.16)
熱心に作ってありますが、実務に適合するかという視点で言えば、まったくおもちゃレベルで、実用品ではありません。