中小企業向けの ERP (会計分野; 商用・オープンソース)

(2009.6)

(2019.1) 古い記述や変遷を削り、今の状況を加筆。

起業したてでは, まずは地元の税理士事務所に毎月の会計処理をお願いするだろう。上手くいって規模が拡大できれば、商業高校を卒業したスタッフを雇い、勘定奉行を導入するのがコース。

小規模事業者のステージを抜けると、早い段階で ERP に切り替えるのがいい。規模が拡大してからだと、なかなか大変。

今から選ぶなら、クラウドにするだろう。少し前までは会計分野とかだとオンプレミスにしたいなぁ、と思っていた。手入力が多いと Web はつらい。

洋物だと、給与計算 payroll が含まれないのが通常で、別途仕入れる必要がある。固定資産回りも、日本の償却資産税に必要な帳票をカバーできるか確認が必要。ただし、帳票がダイレクトに出せなくても、必要なデータが取れれば、無理に別システムを入れる必要はない。

業績管理は, ERP の分野ではないので、別途 EPM を検討したほうがよい。ページを改めて整理しよう。

API によるデータ連携、add-on によるアプリケィションの拡張が重要。その辺りの開発のしやすさが、地味に大切。いずれにしても、信頼できるベンダの選定、導入前のfit-gap分析が大切。

ERPの定義

ERP は Enterprise Resource Planning の略なので、resource 計画の機能がないものは ERP って名乗ってはいけない。

もともとは MRP (Material Resource Planning; 資材所要量計画) と MRP II の発展形が ERP なので、少なくとも、在庫やその購買とか、出荷計画とか、それらを踏まえた計画の機能があってしかるべき。生産計画機能や顧客管理機能はまたジャンルが少し違うので、そういう機能がなくても ERP と名乗るのは差し支えないが。

以下、目安の年商を書いていく。単一事業のみ, 取引内容がシンプル、子会社・関連会社がない (または数社以内), などの場合は、もう少し上, 1.5倍 (~2倍は厳しいか.) までいけると思う。逆の場合は早めに乗り換えていくほうがよい。

会計システム - 小規模事業者むけ

製造業その他で社員数20名以下のイメージ。

この規模だと、ERPはコストが見合わないし、必要にもならない。このステージを一瞬で駆け抜けるのでない限り、次に挙げていくパッケージから選ぶのがよいのでは。

会計管理製品シェア調査(中堅・中小企業向け)、freeeやマネフォは本当に“躍進”? 連載:中堅・中小企業市場の解体新書

勘定奉行
ふつうにこれでいいと思う。奉行iシリーズ、奉行クラウド、奉行 V ERPと行けば、年商50億円ぐらいまではまかなえる。
弥生会計
個人・本当に小さい企業向け。当たったことがない。
GLOVIA
使っている会社を見たことがないけど、どこで使われているのだろう?
OBIC7
7までが商品名。ヴァージョンではない。ザ・昭和オブ昭和、のまま引っ張ってきているので、2020年代に入れるものではない。国内取引限定。外貨に弱い。今後全面リニューアルがあれば、可能性ある。
財務大将, Galileopt
悪いこと言わないので、止めておいた方がいい。メーカーはERP と言っているが、もちろんERP ではない。ただの会計システム.
freee クラウドERPで中堅企業のバックオフィス業務効率化 | クラウドERP freee
もちろん ERP ではない。会計・請求・経費業務って、自分で言ってる。固定資産の機能がないので、別にもう一つ会計システムが必要。何それ。APIを売りにしているが、デザインが腐っていて、まともに使えない。

機能は、はっきりオモチャ。オモチャで悪いわけではなく、値段の割には, まあまあ。びっくりするぐらい値段が安い。2021年6月期3Q決算説明資料で, ARPU (ユーザ当たり平均売上) 3万7,300円. これ、最初月額かと思ったら、年額だった。ビビる。

下は年商2,000万円~3,000万円から、上は年商20億円ぐらいまで。それより上は無理。まぁ、どのような理由があっても、お勧めできない。

Money Forward クラウド
freee のライバル。クラウド会計, 請求書, 経費, 固定資産, 確定申告 (個人のみ)。給与計算, 社会保険, 勤怠。こちらのほうが無理せず普通の会計システムの領域に見える。(試したことはない。)

中小企業~中堅企業向け商用パッケージ

「中小企業」は、業種によって違うが、社員数100人以下または300人以下の企業を指す。

選択肢は、そんなに沢山あるわけではない。

Oracle NetSuite

クラウドERP といえば NetSuite. 下は年商30-40億円から、上は年商1,000億円ぐらいまではスケールできる、はず。

一番の心配事は Oracle 社に買収されたこと。Oracle は Oracle Fusion Cloud ERP に全力投球で、買収した会社と自社の見捨てたプロダクトは, 隅っこに追いやられている. 次のプロダクトは、Oracle Fusion Cloud ERP への移行が推奨されている.

  • Oracle E-Business Suite
  • PeopleSoft
  • JD Edwards EnterpriseOne と JD Edwards World

あと、意外と値が張る? キャンペーン価格の時期かどうかによるかも。何度か提案受けたことあるが、導入まで至ったことはない。

SAP Business ByDesign / SAP Business One

SME (中小企業) 向けが SAP Business One (B1), もう少し大きい企業向けが SAP Business ByDesign (ByD).

SAP Business One はオンプレミスでも導入できるし、クラウドにも載せられる。

対象の企業規模はかなり被っている。行っている事業がシンプルなら、Business One で下は年商2億円~3億円から、上は年商100億円までいける。導入費用は掛かるが、ERPとしてはかなり安い部類。

Business One のアドオン開発は, COMコンポーネントを利用した VB.NET / C# になる。クラウドだとどうするんかな? SOAP インタフェイスもあるが。

ByD は最初から Webベースとして開発された, NetSuite 対抗。対象企業は, 下は年商30-40億円ぐらいから、上は年商1,000億円まで (これもNetSuiteと同じ)。利用料は月額40万円から。

ただ、ByD は, SAP S/4 HANA と対象企業規模が被っているように思う。B1 の次は S/4 HANA というのもアリでは? (コストも大きく跳ね上がりそうだが.)

Microsoft Dynamics 365

昔見たときは「ちょっと採用できない」という感じたった。最近は Microsoft がかなり力を入れているので、選択肢になるかもしれない。

Business Applications | Microsoft Dynamics 365

プランがころころ変わっているので、料金は不明。今は次の3つ, か。

Unified Operations Plan Finance and Operations, Retail and Talent
Customer Engagement Plan Sales, Customer Service, Project Service Automation, Field Service , Marketing, Microsoft Social Engagement

上記の両方を合わせたものが Dynamics 365 Plan.

[2021.06] 料金プラン、また変わってる。中小企業向け Business Central Premium プランで、1ユーザ当たり月額10,870円。製造とサービス管理が不要 (外だしなど) なら, Business Central Essentials プランでよい。20ユーザで月額20万円ぐらい見ておけばいいか?

その他 ERP

名前だけ。探すといっぱいある。

△ DS-mart ERP

[2021.6] あまり力が入っていない感じ。会社としては SAP Business One のほうを推している?

mcframe GA
ZAC -- 株式会社オロ. プロジェクト収支に特化。
見たり使ったりしたことはない。
△ ProActive E2
歴史はある。今から新規で入れるものではないと思う。
Plaza-i 製品情報 | 株式会社ビジネス・アソシエイツ
日本の中堅・中小企業、海外進出企業、外資系企業向け100% オリジナルERPパッケージ.

そのほか、ERPでないもの

△ SuperStream-NX -- これも、自分で財務会計って言ってる。ERP ではない。使ったことはあるが、あまり勧められない。

Free or Open Source ERP

商用サポートが付いている、という前提で、オープンソースERP も挙げておく。まともに候補になるのは、当たり前だが、そう幾つもない。

この分野は、結局、お金を出していいのでちゃんとしたものを入れたい、と考えるので、open source にしたから上手くいく、というものでもない。はっきり、死屍累々。

iDempiere = OSGi + ADempiere

ADempiere ERP プロジェクトは死に、現在はこの iDempiere になっている。

元々 ADempiere も a community fork of Compiere ということで, 商用の Compiere を源流とする。ERP + CRM + SCM.

Java アプリケーション。DBMS は PostgreSQL or Oracle.

Odoo

名前が何度も変わる ERP. 上手くいってないんかな? Tiny ERP から OpenERP になり, 今は Odoo になった。

価格はモジュール単位になっている。Human Resources, BI も含む. Multi-currency, multi-company.

Open Source / AGPL. Pythonベース. 導入支援は、例えば Award-Winning Global Odoo Partner | Port Cities

[2019.03] 実際に手元でインストールして試してみた。実用にはだいぶ距離がある。厳しい。

[2021.06] すごい安い。

[2022.03] Odoo15を試し中。まだ開発中のためバギー。Odoo14のほうがいいか。

▲ Dolibarr ERP & CRM

試したことないが、メジャーらしい?

[2022.03] 試した。機能性がショボい。これなら Odoo のほうがだいぶいい。

PHP. Webサイトが日本語化されている。

△ ERPNext

Odoo の対抗馬。Webサイトでは, Open Source Alternative to SAP と大きく出ている。

ERPNext is 100% open source and will continue to be so. An Open Letter to the Odoo Community

[2019.03] デモ環境で試してみた。Odooよりいっそう実用には厳しい。サービス取引の請求書を受け入れられないのは、結構, 致命的ではないか。

[2021.06] ヴァージョンが進んでおり、再度試してみた。確かに機能は順調に増えているが、うまく整理されておらず、ゴチャゴチャしているのと、それでもなお機能性が不十分。うまく的が狙えていない感が強い。

xTuple ERP

[2016.05] PostBooks, Distribution, Manufacturing, Enterprise の4つのエディションになっている。

xTuple ERP Editions Comparison | xTuple | Open Source ERP for Mac, Linux and Windows

[2019.01] 価格を確認。変更なし。

エディション ライセンス料
PostBooks (Commercial) $45 per user, per month
Distribution $90
Manufacturing $130
Enterprise $150

フリーのPostBooks Editionと、商用のStandard Edition, Manufacturing Edition がある。

sourceforge.net でホストされているが、活発さはあまりない。iDempiere と Dolibarr ERP/CRM が双璧。

[2012.04]

PostBooks, Standard, Project, Manufacturing, Enterprise のエディションがある。

Fixed Asset Mgmt はEnterprise エディションのみ。ここは別に用意する必要がある。 あとはStandard エディションで足りる。

[2011.02]

名前が xTuple ERP: PostBooks Edition に変更になったようだ。現在の最新版は、2010.12にリリースされたv3.6.0. 開発は続いているようだ。

△ Apache OFBiz

2019年2月現在, ユーザ向けドキュメントが, まったく存在しないと言っていいレベル。これでどうしろと?

その他

Openbravo ERP
昔に見たときはよさそうに思ったが、ERP は諦めたみたい。現在は, e-Commerce, Order Management, WMS のパッケージになっている。
CK-ERP
Drupal + CK-ERP => コンテンツ管理が中心?
ERP5
2019年1月現在、2014年11月のバージョン5.5 が最新。プロジェクトが終了している、か?
opentaps
  • http://www.opentaps.org/ [サイトの内容が変わった]

opentaps 1.5 is based on Apache OFBiz 10.04 and Tomcat 6.0.26. Java EE. 2019年1月現在, 2011年2月の opentaps 1.5 は古すぎる。News も 2015 年で止まっているし、プロジェクトが死んでいる模様。