TUT-Code 漢字直接入力

TUT-Codeとは

TUT-Codeは, 1982年に, 豊橋技術科学大学 (TUT) の大岩研究室で, 大岩 元氏, 高嶋孝明氏によって開発された。豊橋技術科学大学なのでTUT。SUNみたいなものか。

今は, 大岩氏は, 慶応義塾大学に移っているようだ。TUT-code Home Page

TUT-Codeは, 漢字直接入力方式の一つ。2から3ストロークで1文字を入力する。学習のハードルが低いのと、商用化されているのが特徴。

商用化されたものは、仕様が安定しやすい。

商用化

EPSON が「タッチ16」として商用化していた。

Handheld computer の HC-88 (1984年) に搭載。QC-10 (8bit; CP/M; 1983年) にも搭載。後継の QC-11 が1985年発売で, MS-DOS が動いた. 【パソコン狂時代】97 ●月刊ASCII創刊100号(1985年10月号)

EPSONの会計システムにも搭載されていた、はず。

40年目を迎えた「EPSON」ブランドの歴史を紐解く(71/122) このオフコンは 1987年。私は, もっと後の、MS-DOS (Windows 3.1だったかも? でもたぶん専用機で, DOS) 上で動く会計システムに実装されているのを見た、気がする。しかし, Webで確認できない。

2019年3月31日に、Yahoo!ジオシティーズが終了し、昔からあるページの多くが失われた。

配列

TUT-Codeは、かな漢字変換を併用するのが前提。難しい漢字はそもそも配列されていない。「かな」だけ覚えれば、あとは少しずつ漢字を打てるようになっていければOK.

漢字は3ストロークまで. 仮名は、昔は4ストロークまであったが, 今は Touch16+ で3ストロークまで.

TUT-Code関係のページ

ここに配列表 (ストローク表) がある。Excel, PDFファイル. "木を見て森を見る"シート (samelast) がよく使われる。

2ストロークは、次のように書いている;

態両乗専興口洋船久
悪病早糸試松安都与清
伸羽静財始河越統秀油

文字、緑の順にタイプする。つまり,

  • wq -> 態
  • eq -> 両

3ストロークは、こう;

・・・・鑑僚耳傍
・・・・・匹旬潟扇尻
・・・・・臼跳慕蜂曙

文字、緑、黄色の順に打つ。

  • iyq 僚
  • kyq 潟

配列は、いくつかバリエーションがあり、現在は「Touch16+」というのが使われるようだ。

  • Touch16+ "17番目のキーについて" は不採用.
  • TUT-Code使うならこれだけは絶対やっとけ!
    1. 拗音等の短縮ストローク => tsf-tutcodeで標準採用.
    2. 鏡像反転ストローク => これが "Touch16+"と呼ばれる拡張.
      • ぱ tltk → tld
      • ぴ tlti → tle
      • ぷ tltu → tlr
      • ぺ tlth → tlg
      • ぽ tltj → tlf
      • づ dldu → dlr
      • ヴ rlru → rlr -> alu
      • ヵ elek → eld
      • ヶ eleh → elg
    3. 拗音等の短縮ストロークの鏡像反転ストローク => これは不採用.

TUT-codeのしくみ

ホームポジション、かな、漢字、記号。ストローク表もあり。

TUT-codeの特徴と入力方法 同じく、入力方法、ストローク表

配列の優劣

打鍵数は、多くなりがち。

"あ"~"お"が2打鍵、濁音が3打鍵、半濁音も3打鍵、拗音・促音の小書き文字も3打鍵 (拗音に5打鍵)。

かな入力やローマ字入力よりも、かな文字の入力はだいぶ不利になっている。かな漢字変換を省略できる、という部分でどれだけ巻き返せるか。

かな漢字変換することなく、狙った文字を出せる、というところが利点。

実装

Windows

漢直Win 1.28 漢直Winドキュメント

オープンソース, GNU GPL.

キー入力を横取りして、文字を投入するタイプ。画面ガイドが優れている。

しかしながら, Windows 10 April 2018 (v1803) で、漢字を VK_PACKET で composition string として投入できなくなったので、かな漢字変換と併用というのが, もはやできない。実用にならない。

このまま失われるのは勿体ない。

deton/tsf-tutcode

Windows TSF の Text Input Processor (TIP) として動作する.

オープンソースだが, ライセンスは何になるかな? GPL? CorvusSKK (MS-PL) がベース。Mozc (BSD 3条項) 由来のコードもある. 漢直Win (GPL) 由来のコードもある.

  • 2019.3 月現在, リリースビルドは可能だが、デバッグビルドに失敗する。必要なソースファイルが不足しているように見える。
  • リリースされたバイナリがコード署名されていない。自分でビルドして, 署名する必要がある。こちら; PKI: コード署名 (Code signing)

動く。これはなかなか面白い。設定で, 画面ガイドも表示できる。

しかし、「交ぜ書き変換」(「ばん回」,「伴りょ」など一部が仮名書きの状態から変換する) ができない? それが強みなのに・・・